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映画好きな株式公開/上場(IPO)を目指す会社の経営戦略、マーケティング、M&Aを応援するCSR経営コンサルタントのプライベート(非公式)ブログです。


by mack-inomata
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To Rome With Love


ウディ・アレン氏の映画は、ご本人が拠点にしている米国では

人気がなく、欧州とくにフランスやイギリスで、もっぱら人気が

あるそうです。



氏の映画は、アメリカ西海岸ハリウッドで制作されるにも関わ

らず、能天気なハッピーエンド・ストーリーは少なく、皮肉と

いうかスパイスというか、若干憂鬱で神経質で小さくまとまる、

いわゆる能天気の正反対な作品ばかりであり、いわゆる昨今に

多くみられるマーケティング作品とは対極のような存在なの

ですが、しかしながら人気という泡のようなものを見事に獲得

し、映画界でポジションを確立しているのは素晴らしいこと

です。



さて、表題は最新作のタイトルで、こういった類のタイトルは

これまで数多く作られており、もちろんオリジナルは007の

ロシア版「From Russia With Love」に決まっています。この

孤高の名作から全てが始まり、パリだのどこだの世界中が銀幕

に映し出されれば、人々の羨望を獲得できる魔法のような名

タイトルですけれども、今回は「From」ではなく「To」という

あたりからして、ウディ・アレン流のエスプリが効いていると

いうことでしょう。



さて、本編の方は言わずもがなといったところでして、いつも

のアレン映画がローマを舞台に展開されるのですが、実際に

ローマをご存知の方なら、こんなストーリーは実態からかなり

乖離していて、スクリーンに映るのは確かにローマだけれども、

特段ローマでなくて別の場所でも良かったのではないかと

感じてしまう違和感が漂います。



それに輪をかけて、せっかく世界中から超有名どころがキャス

ティングされて素晴らしい演技をみせているにも拘らず、

アレン氏がいつもと同じマイペースぶりの監督と演技を発揮

するものだから、画面はアップばかりでこじんまりと纏まり、

氏の演技は五月蠅いばかりで、監督が狙う面白さとじっさいに

画面を観て感じる面白さにギャップが出てしまっています。



日本市場向けには、前作のパリが大ヒットしたため、次も日本

人に人気のあるイタリアとばかりに、ローマのドタバタ喜劇を

ウリに仕立てて販促していますかれども、今回は残念ながら

水準をクリアすることは出来ていないようです。



ラツィオ洲の全面協力によって制作されたことが、エンドロール

からも分かりますが、故郷を懐かしんでご覧になるイタリア人

の方は、とても笑えないでしょう。



単純に、ポイントがズレてしまっているのです。




To Rome with Love





by mack-inomata | 2013-07-03 18:13 | 映画(CINEMA)